第5回大会
2017年5月14日
「日本人の起源を探る」
平成29年5月14日(日)13:30〜17:00、文化シャッターBXビル多目的ホール
第1部
講師:神澤秀明先生(国立科学博物館)
遺伝子で解明!縄文人が日本人の祖先だ!〜DNAで分かった日本人のルーツ
<神澤先生の言葉> 古代DNA分析は、古代人と現代人の遺伝関係を直接的に比較できる点で非常に重要な手法である。 日本の古代DNA研究は、1989年に宝来聰らが縄文人骨のミトコンドリアDNAの部分配列を分析する ことから始まり、最近では分析技術の向上によって、古代人のゲノム 解読が世界中で進んでいる。 日本でも、縄文人の核ゲノムが解読され、現代日本人の核ゲ ノムと直接比較することによって、 現代日本人に縄文人の遺伝要素が受け継がれていること が明らかとなった。 今回はさらに詳細に、我々の研究グループが描いている縄文人と現代 日本人の関係について 紹介する。
第2部
講師:小田静夫先生(考古学者)
海を越えて日本列島にやってきた先史時代人の故郷を探る 〜最新の人類学・考古学的成果の報告
<小田先生の言葉> 四周を海に囲まれた島国の日本への渡来ルートは、北海道ルート、対馬ルー ト、沖縄ルートの 3つが想定されている。 最初の渡来集団は、アジア人の故 郷である東南アジアのスンダランドから「黒潮」を利用して 船出した。 フィリ ピン、琉球列島の島伝いに九州南部に到達し、太平洋沿岸地域には日本列 島最古の (約3万5,000年前の)人類遺跡が並ぶ。 武蔵野台地(野川流域) で発掘された約3万2,000年前の伊豆諸島「神津島」産の黒曜石は、 「世界 最古の海洋航海」の証左。 縄文時代の初めにも、「海人集団」が黒潮を北 上して、もう一つの縄文文化と云われる南九州 地方の土器文化を築いたと見られる。 その後も黒潮海流を介した「海上の道」は日本列島に文物を運び、 日本文化の基層に大きな 影響を与えた。